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ハンス・ショーラーがドイツに戻ってくることになった(フランクフルター・アレゲマイネ。)。ショーラーはES細胞を使った生殖細胞誘導研究の最先端を走っており、現在はペン大にいる。マックスプランク研究所のディレクターに任命されたとのことなので、かなり好条件ではある。とはいえ、今のショーラーの立場を考えれば、ドイツへの異動は、なんでわざわざ、ということになる。米国から戻ってくる理由は、ブッシュ政権下になってから、ES細胞研究を進める上で、研究費の打ち止めなどさまざまな障害が目立ち始めたことが背後にある。なにしろブッシュ・ジュニアはガチガチのファンダメンタリスト。ES細胞のかくなる生殖細胞の研究を支持するはずがない。一種の政治的理由による、頭脳逆流、とみてよい。これは生物関係の業界ではかなりの大ニュースである。
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"No Logo"で鮮烈なデビューを果たした反グローバリズムの若手論客、ナオミ・クラインの最新テキスト。(和訳)
引用
When Bush came to office, many believed his ignorance would be his downfall. Eventually Americans would realize that a President who referred to Africa as "a nation" was unfit to lead. Now we tell ourselves that if only Americans knew that they were being lied to, they would surely revolt. But with the greatest of respect for the liar books (Lies and the Lying Liars Who Tell Them, Big Lies, The Lies of George W. Bush, The Five Biggest Lies Bush Told Us About Iraq et al.), I'm no longer convinced that America can be set free by the truth alone.
ブッシュがオフィスにやってきた時、多くの人々は彼の無学が凋落を導くことになると思っていた。アフリカを「国家」と言ったりする大統領が指導者としては問題ありだということはやがてアメリカ人も悟ることになるだろう。もしアメリカ人が自分たちがだまされていることに気づいたとしたら、彼らは確実に反乱を起こすだろう。しかし尊敬すべき嘘について記された様々な本(Lies and the Lying Liars Who Tell Them, Big Lies, The Lies of George W. Bush, The Five Biggest Lies Bush Told Us About Iraq 等)が出ていることを見る限り、アメリカがもはや真実だけで解放されるとはとても思えない。
先日も書いたが、米国を(/も)無気力な慣性が支配している。その慣性による戦争の続行を陸軍大学の教官が批判する、という点はきわめてまっとうだ。
引用
このレポートの著者であり防衛専門家として経験豊かなジェフリー・レコード教授は、「いま定義され遂行されている地球規模の対テロ戦争は、危険なまでに見境なく野心的なものであり、したがって・・・その範囲は調整し直されるべきだ」と書く。彼はさらに、現時点で対テロ作戦は焦点があっておらず、果てしなく絶望的な安全追求をおこなうなかでアメリカの軍事力を浪費してしまう恐れがあると付け加えている。
イラク攻撃に関する世界情勢のニュース配信
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オランダの財務省が「白い靴下は公務員にふさわしくない、と布告。公務員たるもの、ダーク・スーツを着て、黒い靴下を履かねばならないそうだ。フランスにしてもドイツにしても、服装の規定が巷で最近よく話題になる。フランスでは先月、学校では宗教にかかわる服装をしてはいけない、という法律が通った。モスレムの女学生が身に付けるスカーフをめぐる、10年越しの議論の結果であるが、スカーフをしてはいけないだけではなく、キリスト教徒にしても、でかい十字架を首にぶらさげて登校してはいけなくなった。ドイツでは、スカーフの議論と共に、女子高生があまりに扇情的な服装をするので、「制服を導入すべきだ」という議論が世論をにぎわせている。